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新型コロナ後遺症:嗅覚障害の治療について


嗅覚障害の治療について

当院での新型コロナ後遺症である嗅覚障害の治療について紹介します。
においがまったくわからない、食べ物から嫌なにおいがして食べられない、などの症状の人に、以下のような診療を行っています。

【耳鼻いんこう科での診療】 

・鼻やのどの状態の確認  
鼻から内視鏡という細いカメラを入れます。検査は診察室で座ったまま行い、かかる時間は1~2分程度です。副鼻腔炎(ちくのう症)や鼻炎の所見がある場合は、点鼻薬や飲み薬を処方することがあります。

・においを感じる力の検査 
アリナミンという薬剤を注射してから、においを感じるまでの秒数を計ることで嗅覚の状態がわかります。

・自宅でできるにおいのリハビリ指導
アロマオイル(100均で売っているもので可)を4種類ほど用意して、毎日かぎわける訓練をすることで、回復が早まる可能性があります。アロマオイル以外に、においのするもの(カレー粉、コーヒー粉、酢、茶葉など)をびんに詰めたもの、歯磨き粉、など他の物でもかまいません。

・「Bスポット療法」または「上咽頭擦過療法」について
鼻の一番奥の上咽頭というところに、薬剤を塗る治療法です。嗅覚障害やそれ以外の新型コロナ後遺症の症状に有効なことがあるとの情報もありますが、当院では積極的には行っていません。(2022年3月現在)

・日常のにおいアンケート 
嗅覚障害が長く続いて来院する人も多く、においに対する興味を失っている人も多いです。日本鼻科学会「嗅覚障害診療ガイドライン」に掲載されている「日常のにおいアンケート」に基づいたアンケートを回答してもらい、においの感じ方を点数化しています。アンケートの情報をもとに、においのリハビリの指導を行っています。

【漢方外来での診療】

・漢方薬の内服 
患者さんのその時の状態に一番合う処方を選んでいます。たいていは回復に月単位の時間がかかり、処方は必要に応じて変えていきます。耳鼻いんこう科での診療とにおいのリハビリも続けることで、回復する人が増えています。

・食べものについて 
冷たい物や野菜は食べられることが多い一方で、温かい食べ物のにおいや、肉や油物が苦手な人が多く、食べられるものが限られるためにやせてしまう人もいます。魚、刺身、かまぼこ、ちくわ、卵、豆腐、ゼリー飲料など、冷めていても美味しいもので栄養をとってください。
ただ、胃腸は温める方が身体の回復にはよいので、冷たい物や生ものをおなかに入れた後は、すぐにお白湯や温かいお茶を少しでも飲む、などするとさらによいでしょう。
醤油やみそ味が苦手な場合は、塩を使い、ごま油やオリーブオイルを合わせることも試してください。
甘い味が大丈夫な場合は、液体の栄養剤を処方することもあります。
上記のような治療によって、ゆっくりとですが改善する人が増えてきています。
一緒に根気よく取り組んでいきましょう。

【受診に関するお問い合わせ】

受診に関してのお問い合わせは下記までお願いします。
月曜日~金曜日:8時15分~17時00分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)

中東遠総合医療センター 地域医療支援センター 
0537-21-5555(代表)/ chikirenkei@chutoen-hp.shizuoka.jp