グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



漢方外来からのお知らせ COVID-19オミクロン株流行期の軽症者に対する漢方治療について(医療従事者向け)


2023年2月10日
中東遠総合医療センター 総合内科 漢方外来 大瀬綾子
一般の方向けの記事ではありません。市販薬と医療用製剤は成分量も異なります。
軽症者に対する当外来における治療内容を紹介します。
内容は今後も修正変更する可能性があります。

主な症状

症状は、発熱、頭痛、咳、鼻汁鼻閉、咽頭痛が多く、下痢や嗅覚味覚障害もみられます。

処方

使用している具体的な処方は主に以下の通りです。
【注意点】
  • 小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、柴朴湯、柴苓湯、柴陥湯、その他「黄芩(オウゴン)」を含む漢方薬は、間質性肺炎を起こすことがあります。
  • 新型コロナ感染症の急性期治療への使用は、原則2週間以内を推奨
  • 2週間以上継続する場合は、定期的に咳や呼吸苦の増悪の有無、SpO2、胸部X線像などを確認し、薬剤性肺炎が疑われる場合は速やかに中止してください。
  • 肝障害にもご注意ください。
A)下痢がない場合
葛根湯加川芎辛夷(当院採用薬番号2)+ 小柴胡湯加桔梗石膏(同109)

109の入手困難時は、
小柴胡湯(同9)+ 桔梗石膏(同N324)
柴朴湯(同96)+桔梗石膏(同N324)を使用
【注意点】
  1. 高血圧がコントロールできていない人、不整脈のある人、前立腺肥大による排尿困難がある人の場合は、小柴胡湯加桔梗石膏だけにしています。葛根湯加川芎辛夷には「麻黄(まおう)」が含まれ、血圧や心拍の上昇、排尿困難を起こすことがあるためです。

  2. 処方日数は、第7波では10日を基本にしています。2剤とも3包/日の場合、「甘草」が4.0g/日と多く、偽アルドステロン症(高血圧、浮腫、低カリウムのうち1~3症状、治療は甘草製剤の中止、スピロノラクトン)のリスクがあります。高齢女性では発症リスクが高いため減量します。通常は短期間の投与で問題が起こる可能性は低いです。

  3. 体重60kgを目安に、常用量(3包/日)から体重や体格、年齢に応じて増減させます。
    例:40kg台 2包/日、 70kg以上 4~6包/日 など

  4. 鼻症状や嗅覚障害がある場合は、葛根湯よりも葛根湯加川芎辛夷が適しています。常用薬や咳止め、解熱剤など西洋薬とは問題なく併用します。常用している他の漢方薬は、副作用予防のため一時中止します。
B)下痢が続く場合
柴苓湯 さいれいとう (同114)
高熱がある間は、桔梗石膏(同N324)を併用
  • 小柴胡湯(同9)+五苓散(同17)と同じ成分です。
  • 急性期の投与は基本的には10日以内としています。
C)その他:周囲に感染者が出た場合、予防薬として使用(保険適応外)

  • 濃厚接触者に対して、葛根湯(同1番)+補中益気湯(同41番)を使用したことがあります(その後発症せず)。どちらも3包/日を内服する場合は、7~14日以内が安全です。
  • 普段の予防薬として長期に内服するには補中益気湯が適当と考えます。
  • 最近のオミクロン株は感染力が増しているため、濃厚接触者=ウイルスが既に体内に入った状態と考え、同居家族が発症するなど濃厚接触者になった時点で、希望があれば、治療薬である葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏を投与することがあります。

*「麻黄」が葛根湯に、「甘草」は葛根湯にも補中益気湯にも含まれるため、それぞれ血圧や心拍の上昇、偽アルドステロン症に注意が必要です。
*稀ですが、いずれの処方でも薬疹は起こり得ます。

【お問い合わせ】

中東遠総合医療センター 地域医療支援センター
0537-28-8021(直通)/chikirenkei@chutoen-hp.shizuoka.jp
  1. ホーム
  2.  >  重要なお知らせ
  3.  >  新型コロナウイルス感染症に関する当院の対応について
  4.  >  漢方外来からのお知らせ COVID-19オミクロン株流行期の軽症者に対する漢方治療について(医療従事者向け)
ページの
トップに戻る