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放射線治療


放射線治療について

放射線治療は、がん治療の三本柱(手術・放射線・化学療法)のうちの一つで、外科的手術などに比べて、低侵襲かつ形態・機能の温存が可能であり、外来通院での治療・仕事の継続など、現状の生活を維持しながら治療ができます。

放射線治療の適用

脳腫瘍などの頭蓋内疾患はもとより、乳がん・前立腺がん・肺がん・頭頸部がんなどほとんど全ての悪性腫瘍に対して効果的があります。また、手術や化学療法との適切な組み合わせでより高い効果が期待できます。

放射線治療装置について

当院の装置はElekta社製のSynergyを採用しており、照射前にCTを撮影することで高精度で位置照合を行うことができます。以下に記述する高精度放射線治療技術を用いることで正常組織への負担が軽減され効率の良い治療が行えます。

応用範囲が広いトリプルエネルギーを搭載

3種類(4、6、10MV)のX線エネルギーの出力が設定可能で、症例に合わせた最適なX線エネルギーを選択して照射ができます。また、4~15MeVの電子線の治療が可能です。

放射線治療装置Synergy(エレクタ社製)

複雑な照射方法に対応

強度変調放射線治療(IMRTやVMAT)、画像誘導放射線治療(IGRT)定位放射線治療(SRT)など豊富な照射機能を備え最適な治療が行えます。

画像誘導放射線治療(IGRT)

放射線治療装置本体に搭載されたイメージシステムにより、単純撮影や透視撮影、コーンビームCT画像をもとに3次元的な位置決めを行います。さらに、4DコーンビームCT撮影を行うことで呼吸性移動を考慮したより正確な放射線治療が可能です。

高精度・高精細な照射を支援

  • フルフィールド(40×40cm)に対応した5mmマルチリーフと2.5mmマイクロマルチリーフを使用し適切な照射野の形成をすることで病変にフィットした照射野の設定ができ、正常組織にあたる放射線の線量を減らすことができます。

  • 正確な位置決めができる6軸補正天板を組み合わせて高精度・高精細な照射を実現しています。
    ※6軸補正天板:縦、横、高さ方向の距離の補正に加え、 各方向の角度(Roll, Pitch, Yaw)を補正する天板。

強度変調放射線治療 (IMRT : Intensity Modulated Radiation Therapy)について

IMRTは放射線を様々な方向から強弱をつけることで正常組織の線量を抑え腫瘍に対して多くの線量を照射することでき、腫瘍制御率の向上や副作用の軽減が期待されています。

目的の線量分布にするために、コンピュータ制御で、MLC(Multi Leaf Collimator:5mmの薄い金属板)を腫瘍の形状に合わせて照射野を形成します。

回転型強度変調放射線治療 (VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)について

VMAT(回転型強度変調放射線治療)はガントリー(治療中に放射線を照射する照射筒)を回転させながらIMRTを行う照射技術になります。ガントリーの回転速度、MLCの駆動速度線量率(放射線を照射する速度)を変化させながら照射することで、照射時間を短縮させ、スループットの向上を図ります。当院ではVMATを採用し、高精度放射線治療を行っています。


定位放射線治療(SRT : Stereotactic Radiotherapy)について

脳定位照射

頭部病変に対し多方向から放射線を集中させ、ピンポイントに照射する方法です。患者様の固定にはシェルを使用して、非侵襲的に高精度な位置再現性を実現します。さらに、2.5mmマイクロマルチリーフを採用することにより、腫瘍の形状に合わせた照射野の形成が可能で、高精度で効率的な照射が可能です。

シェル
(エンジニアリングシステム)

体幹部定位照射治療(SBRT:Stereotactic Body Radiation Therapy)

肺や肝臓などの体幹部に多方向から放射線を集中させ、ピンポイントに照射する方法です。 呼吸停止の可能な患者様には、アブチェス(呼吸モニタリング装置)と透視を使用して、正確な照射を行います。また、呼吸停止のできない方には、ボディーフィックス(ダブルバキュームテクノロジ)を使用して患者様の精密な『型』を作成し、患者様を覆うカバーシートを持続吸引することにより、体全体を均一に圧迫し呼吸などの動きを抑制し、自由呼吸下でも最小限の照射野で照射を行います。

アブチェス
(エイペックスメディカル)

ボディーフィックス
(ダブルバキュームテクノロジ)

放射線治療の流れ

(1)診察(腫瘍放射線科外来)

放射線治療専門医師による診察を行います。治療方針を決定し、どのくらいの放射線を照射するか・治療方法・照射部位・有害事象(副作用)・治療日程(治療開始日・治療期間・治療回数)などの説明を行います。ご要望やご質問がございましたらご相談ください。

診察

(2)放射線治療計画CTの撮影

患者様の体位を決め、患者様専用の固定具(固定マットやシェルなど)を作成して計画CTを撮影します。撮影したCTから正確な放射線量や位置を決めます。ここで決めた体位や固定方法で毎日同じ様に放射線をあてて治療しますので、痛みがある場合や姿勢がとりにくい場合は、我慢しないで遠慮なく担当技師にお知らせください。この時、位置合わせのためシールや油性ペンで皮膚に印を付けます。所要時間は、15~30分程度です。

固定具 例1

固定具 例2

(3)治療計画の作成

撮影されたCTをもとに治療計画装置にて、適切な範囲や照射方向、照射方法、照射線量などの治療計画を作成します。計画されたデータは、医師をはじめとする複数のスタッフで確認および検証を実施し、放射線治療装置に登録します。

治療計画装置

(4)放射線治療(放射線照射)

治療寝台の上に寝ていただきCT撮影時に作成した患者様専用の固定具を使用して固定し、適正な位置に照射ができるよう慎重に位置を合わせます。治療中は、体のまわりを機械が回りますが患者様に接触することはありませんのでご安心ください。また、体を動かすと位置がずれてしまいますので、担当技師がお知らせするまでは動かないようにお願い致します。照射の位置や照射方法、照射線量に間違いないか診療放射線技師2名でダブルチェックしてから照射を開始します。治療中は、操作室から複数のモニターで常に患者様を見守っています。また、マイクを通じて会話ができますので何かあればお知らせください。
治療期間中、看護師が毎日症状をお聞き致します。体の症状で何か変化がある場合は、必ずお知らせください。 また、ご不安なことやご要望などがございましたら、お気軽にご相談ください。

放射線治療操作室

放射線治療室内


放射線治療装置の出力線量について(第三者機関による測定評価の実施)

当院の放射線治療装置は、定期的な品質・精度管理を行い公益財団法人医用原子力技術研究振興財団による「治療用照射装置(X線)の出力線量の測定」を受け、正しい線量が出力されている測定結果を得ています。尚、当院は令和5年4月1日より地域がん診療拠点病院の指定を受けています。その指定要件として、第三者機関による出力線量の測定評価は必須項目となっています。

放射線治療計画専用CT装置

被ばく低減技術AIDR 3D(逐次近似再構成法と呼ばれる技術で、被ばく低減およびノイズ低減と画質向上を実現)を搭載したCT64スライスを導入しております。これにより、従来よりも50%以下に被ばく線量を抑えて撮像しています。

治療計画専用CT Aquilion CX(東芝社製)

放射線治療を受けられる患者さまへのメッセージ

患者さまとご家族の皆さまに安心して治療していただける環境を提供できるよう努めております。不安なことや困ったことがございましたら、どんなことでもスタッフにお気軽にお申し出ください。
また、予約時間の設定は、患者さまのご都合にできるだけ配慮致します。
なお、当院独自の会計システムで院内滞在時間の短縮が可能です。是非ご利用ください。

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