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医療の質の評価(QI)


QIプロジェクト

当院では2014年4月より日本病院会主催『QIプロジェクト』へ参加しています。
このプロジェクトでは、日本病院会が指定する54の指標について、全国の参加病院352施設がデータを提出・分析しています。
QIプロジェクトへの参加は、自院のデータを経時的に公表しながら、向上のためのあらゆる努力をし、結果として医療の質を改善することが第一の目的といえます。また、その結果を公開し、自院と他院を比較することで『医療の質』の改善へ繋げていきたいと考えます。

※医療の質(QI:Quality Indicator)とは、医療の質を定量的に表現しようとするもので、医療の質改善のためのツールとなります。


指標一覧

患者満足度

指標の説明・定義

受けた治療の結果、入院期間、安全な治療に対する患者の満足度をみることは、医療の質を測るうえで直接的な評価指標の重要な一つです。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

<患者満足度(外来患者)>
分子 a)「この病院について総合的に満足している」と回答した外来患者数
b)「この病院について総合的に満足またはやや満足している」と回答した外来患者数
分母 患者満足度調査に回答した外来患者数(未記入患者を除く)
<患者満足度(入院患者)>
分子 a)「この病院について総合的に満足している」と回答した入院患者数
b)「この病院について総合的に満足またはやや満足している」と回答した入院患者数
分母 患者満足度調査に回答した入院患者数(未記入患者を除く)

グラフ

<患者満足度(外来患者)>

患者満足度(外来)「満足」

患者満足度(入院)「満足」

<患者満足度(入院患者)>

患者満足度(入院)「満足」「やや満足」


死亡退院患者率

指標の説明・定義

分母を退院患者数、分子を死亡退院患者数としています。
どの病院でも死亡退院患者率を把握できますが、医療施設の特徴(職員数、病床数、救命救急センターや集中治療室、緩和ケア病棟の有無、平均在院日数、地域の特性など)、入院患者のプロフィール(年齢、性別、疾患の種類と重症度など)が異なるため、この死亡退院患者率から単純に直接医療の質を比較することは適切ではありません。

値の解釈

より低い値が望ましい

分子・分母

分子 死亡退院患者数
分母 退院患者数

グラフ

死亡退院患者率


入院患者の転倒・転落発生率

指標の説明・定義

入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。
原因としては、入院という環境の変化によるものや、疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。
転倒・転落の指標としては、転倒・転落によって患者に傷害が発生した損傷発生率と、患者への傷害に至らなかった転倒・転落事例の発生率との両者を指標とすることに意味があります。転倒・転落による傷害発生事例の件数は少なくても、それより多く発生している傷害に至らなかった事例もあわせて報告して発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。

値の解釈

より低い値が望ましい
1:なし 患者に損傷はなかった
2:軽度 包帯、氷、創傷洗浄、四肢の挙上、局所薬が必要となった、あざ・擦り傷を招いた
3:中軽度 縫合、ステリー・皮膚接着剤、副子が必要となった、または筋肉・関節の挫傷を招いた
4:重度 手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要となった、または神経損傷・身体内部の損傷のための診察が必要になった
5:死亡 転倒による損傷の結果、患者が死亡した
6:UTD 記録からは判定不可能

入院患者の転倒・転落発生率

分子・分母
分子 医療安全管理室へ報告された転倒・転落件数
分母 入院延べ患者数
グラフ

入院患者の転倒・転落発生率 (レベル2以上)

入院患者の転倒・転落発生率
(レベル2以上)

分子・分母
分子 医療安全管理室へ報告された転倒・転落件数(損傷レベル2以上)
分母 入院延べ患者数
グラフ

入院患者の転倒・転落発生率 (レベル2以上)

入院患者の転倒・転落発生率
(レベル4以上)

分子・分母
分子 医療安全管理室へ報告された転倒・転落件数(レベル4以上)
分母 入院延べ患者数
グラフ

入院患者の転倒・転落発生率 (65歳以上)

入院患者の転倒・転落発生率
(65歳以上)

分子・分母
分子 医療安全管理室へ報告された転倒・転落件数(65歳以上)
分母 入院延べ患者数
グラフ

褥瘡発生率


褥瘡発生率

指標の説明・定義

褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者の生活の質の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため、褥瘡予防対策は提供する医療の重要な項目の1つにとらえられ、1998年からは診療報酬にも反映されています。褥瘡発生率については、分母は入院延べ患者数、分子は調査期間内に院内新規発生の可能性がある患者に限定しました。また、分子はd2以上の褥瘡の院内新規発生患者数とし、深さ判定不能な褥瘡(DU)・深部組織損傷疑いも含めています。褥瘡の深さについては、日本褥瘡学会のDESIGN-R(2008年改訂版褥瘡経過評価用)とInternational NPUAP-EPUAP Pressure Ulcer Guidelines を用いています。

値の解釈

より低い値が望ましい
d0 皮膚損傷・発赤なし
d1 持続する発赤
d2 真皮までの損傷
D3 皮下組織までの損傷
D4 皮下組織をこえる損傷
D5 関節腔、体腔に至る損傷
DU 深さ判定が不能の場合

分子・分母

分子 d2以上の褥瘡の院内新規発生患者数
分母 入院延べ患者数

グラフ


紹介割合および逆紹介割合

指標の説明・定義

紹介割合とは、初診患者に対し、他の医療機関から紹介されて来院した患者と救急患者における割合です。一方、逆紹介割合とは、初診患者と再診患者に対し、他の医療機関へ紹介した患者の割合です。高度な医療を提供する医療機関にだけ患者が集中することを避け、症状が軽い場合は「かかりつけ医」を受診し、そこで必要性があると判断された場合に高い機能を持つ病院を紹介受診する、そして治療を終え、症状が落ち着いたら、「かかりつけ医」へ紹介し、治療を継続または経過を観察する、これを地域全体として行うことで、地域の医療連携を強化し、切れ間のない医療の提供を行います。つまり、紹介割合・逆紹介割合の数値は、地域の医療機関との連携の度合いを示す指標です。

値の解釈

より高い値が望ましい

紹介割合

分子・分母
分子 紹介初診患者数
分母 初診患者数-(休日・夜間以外の初診救急車搬送患者数+休日・夜間の初診救急患者数)
グラフ

紹介率

逆紹介割合

分子・分母
分子 逆紹介患者数
分母 初診患者数-(休日・夜間以外の初診救急車搬送患者数+休日・夜間の初診救急患者数)+再診患者数
グラフ

逆紹介率

症候性尿路感染症発生率

指標の説明・定義

尿路感染症は医療関連感染の中でも最も多く、約40%を占め、その80%が尿道留置カテーテルによるもの、すなわちCAUTI(catheter-associated urinary tract infection)です。医療機関で起こる血流感染の15%はCAUTIの合併症であると推計されており、その寄与死亡率は15%を超えます。CAUTIのリスクは医療機関、部署、患者の特性に左右されますが、エビデンスレベルが高い予防策の実施により、CAUTIの65%‐70%は予防可能と推計されています。
本指標は平成27年度より新規追加されました。

値の解釈

より低い値が望ましい

分子・分母

分子 分母のうちカテーテル関連症候性尿路感染症の定義に合致した延べ回数
分母 入院患者における尿道留置カテーテル挿入延べ日数

グラフ

症候性尿路感染症発生率


救急車・ホットライン応需率

指標の説明・定義

救急医療の機能を測る指標であり、救急車受け入れ要請のうち、何台受け入れができたのかを表しています。本指標の向上は、救命救急センターに関連する部署だけの努力では改善できません。救急診療を担当する医療者の人数、診療の効率化、入院を受け入れる病棟看護師や各診療科の協力など、さまざまな要素がかかわります。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

分子 救急車で来院した患者数
分母 救急車受け入れ要請件数

グラフ

救急車・ホットライン応需率


特定術式における手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率

指標の説明・定義

手術後に手術部位感染が発生すると、入院期間が延長し、入院医療費が増大します。執刀開始の1時間以内に適切な抗菌薬を静注することで、手術部位感染を予防し、入院期間の延長や医療費の増大を抑えることができると考えられています。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

分子 手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数
分母 特定術式の手術件数(冠動脈バイパス手術、その他の心臓手術、股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術、大腸手術、子宮全摘除術)

グラフ

特定術式における手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率


特定術式における術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停止率

指標の説明・定義

抗菌薬の予防投与については24時間以内に投与を終了しても、それ以上継続した場合と比べて効果に差はないことがわかっています。また予防的抗菌薬投与を長期間にわたって行うと、抗菌薬耐性菌の検出およびそれらの耐性菌による術後感染のリスクが上がる恐れもあるため、24時間以内に投与を停止することが推奨されています。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

分子 術後24時間以内(冠動脈バイパス手術またはその他の心臓手術の場合48時間以内)に予防的抗菌薬投与が停止された手術件数
分母 特定術式の手術件数(冠動脈バイパス手術、その他の心臓手術、股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術、大腸手術、子宮全摘除術)

グラフ

特定術式における術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停止率


特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率

指標の説明・定義

手術執刀開始の1時間以内に、適切な抗菌薬を静注することで、手術部位感染を予防し、入院期間の延長や医療費の増大を抑えることができると考えられています。本指標は平成27年度より新規追加されました。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

分子 術式ごとに適切な予防的抗菌薬が選択された手術件数
分母 特定術式の手術件数(冠動脈バイパス手術、その他の心臓手術、股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術、大腸手術、子宮全摘除術)

グラフ

特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率


糖尿病患者の血糖コントロール

指標の説明・定義

HbA1cは、過去2~3か月間の血糖値のコントロール状態を示す指標です。合併症を予防するためには、HbA1cを7.0%以下に維持することが推奨されています。したがって、HbA1cが7.0%未満にコントロールされている患者の割合を調べることにより、糖尿病診療の質を判断する指標の1つになると考えられます。

値の解釈

より高い値が望ましい

HbA1c(NGSP)が7.0%未満

分子・分母
分子 HbA1c(NGSP)の最終値が7.0%未満の外来患者数
分母 糖尿病の薬物治療を施行されている外来患者数(過去1年間に該当治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)
グラフ

糖尿病患者の血糖コントロール

HbA1c(NGSP)が8.0%未満

分子・分母
分子 HbA1c(NGSP)の最終値が8.0%未満の65歳以上の外来患者数
分母 糖尿病の薬物治療を施行されている65歳以上の外来患者数(過去1年間に該当治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)
グラフ

65歳以上の糖尿病患者の血糖コントロール


インシデント・アクシデント

指標の説明・定義

身体への侵襲を伴う医療行為は常にインシデント・アクシデントが発生する危険があります。その発生をできる限り防ぐことは医療安全の基本です。仮にインシデント・アクシデントが生じてしまった場合、原因を調査し、防止策をとることが求められます。そのためにはインシデント・アクシデントをきちんと報告することが必要です。

値の解釈

より高い値が望ましい

100床あたりのインシデント・アクシデント発生件数

分子・分母
分子 調査期間中の月毎のインシデント・アクシデント発生件数×100
分母 許可病床数
グラフ

100床当たりのインシデント・アクシデント発生件数

全報告中医師による報告の占める割合

分子・分母
分子 調査期間中の月毎のインシデント・アクシデント発生件数×100
分母 許可病床数
グラフ

インシデント・アクシデント全報告中医師による報告の占める割合


職員におけるインフルエンザワクチン予防接種率

指標の説明・定義

医療機関を受診する患者は、免疫力が低下していることが多く、病院職員からの感染を防止する必要があります。
接種率が高い場合には、院内感染防止対策に積極的に取り組んでいると評価できます。

値の解釈

より高い値が望ましい

分子・分母

分子 インフルエンザワクチンを予防接種した職員数
分母 職員数

グラフ

職員におけるインフルエンザワクチン予防接種率